蒸溜所

   

   

埼玉県鴻巣市に建つウィスキーの蒸溜所です。

クライアントさんとは12年前(独立前)に家づくりを通して出会い、長年の夢であった蒸溜所をつくることもお手伝いさせていただくことになりました。

ウィスキーは、あらゆる酒造りの中で最も複雑な工程(製麦・糖化・発酵・蒸溜・熟成)と時間をかけて造られる酒です。それにより造り手のこだわりはもちろんの事、その土地の風土が味わいに強く反映されます。これは「建築」と共通する部分であり、とても興味深いことでした。クライアントさんとのコミュニケーションにより、ウィスキー造りの奥深さに触れることによって、「建築」の可能性を改めて探求することにもつながっているプロジェクトです。

この土地の歴史をたどると、詳細な時期は不明ですがかつてお城があった記録があり、さらに、明治時代に入ると日本の近代化を推進した製糸業の工場があったことがわかりました。象徴的な建築が存在していたこの土地に、新たに建てる建築として、工場としての合理性を注意深く検討しつつ、建築に造詣が深いクライアントさんと配置やプロポーションなどについての建築的な美意識を共有しながら計画を進めました。