用賀の保育園

   

   

東京都世田谷区で待機児童が最も多い時期に計画した保育園です。

クライアントさんと一緒に、候補となる敷地やテナントビルをいくつも見学する中で、保育園を運営する感覚を共有しました。少子化という大きな流れがありつつも、待機児童対策として都市型の保育園が急増していました。その中で「都市型の保育園」として、子供たちが快適に過ごすことができる、質の高い環境を目指しました。

構成としては、部屋全体を包み込むような優しい質感とするために、「空間を伸びやかに感じさせる長い壁」と「子供が動き回る空間の床」と「毎日触れる椅子や円形の机」は、国産のヒノキを使って 製作しました。一方で、部分としては、いくつかの個性的な小さな領域が現れるようにするために、円形の壁や天井の面の一部がずれるような形とし、そこに特徴的な色(揮発性有機化合物を含まない塗料)を塗装しました。

都市の喧騒の中でも、全体としては子供たちが安心できる一体感を生みつつも、それぞれの子供たちが自分のお気に入りの場所を発見できるような、楽しい空間となっています。

   

▲やわらかいヒノキで制作した椅子です。置く向きによって、座面の高さが変わります。身体が小さい2歳児でも持ち運びやすいように手掛けの位置と大きさを工夫しています。子供たちが自分の好きな場所に自分で運び、そこに座り過ごす、という主体的な楽しみ方をしてもらえることを期待しています。


photo by michiho