家事動線は大きく分けて3つあると考えています。一つ目は料理動線、二つ目は洗濯動線、三つ目は掃除動線です。
料理動線

「広いキッチンに憧れる」という方も多いですが、一人で料理をすることが多い場合は、広すぎると無駄な動きが多くなり、調理の作業時間も長くなってしまいます。
プロの料理家は、物が、使う場所の手の届きやすい位置に使いやすい状態で収められていることで、驚くほど手際よく料理をすることができるのです。冷蔵庫から食材を取り出してシンクや調理台で調理し、棚から食器を取り出して盛り付ける。一連の動作を想像しながら、数歩で移動できて自分が使いやすい位置に調理道具や家電を配置して、ストレスのない料理動線をつくりましょう。
また、ダイニングテーブルはキッチン横にあると配膳や片付けの手間も減らせますし、家族が自然と手伝ってくれるようになるという効果も期待できます。
玄関からキッチンまでが遠いと、買い物袋を運ぶだけでも大変な作業になります。キッチンを玄関の近くに設けるか、キッチンに勝手口を設けると、動線が短くなり朝のゴミ出しも楽になります。
洗濯動線

洗濯は、“洗う→干す→取り込む→たたむ→しまう”という流れで完了します。洗濯から干すまでのことは考えていても、取り込んで、たたんで収納するところまでの動線を考えていないと家事は楽にはなりません。
例えば、1階にある洗濯機で洗い、2階のバルコニーで干して、1階の寝室に収納するというような動線では、大変な重労働になります。洗濯機の近くに室内干しコーナーやバルコニーがあり、その隣に衣類やタオルを収納する場所があれば効率アップにつながります。
また、料理と並行して洗濯をする方も多いので、洗濯スペースをキッチンの近くに配置すると家事が楽になります。
掃除動線

家族の集まるリビングやダイニングは、特に物があふれて散らかりがちです。床に物があると、掃除の前にまずは片付けから始めることになり、掃除が億劫になります。
これを解決するには、物を床に置かずに、使う場所に、取り出しやすくしまいやすい状態で収納することです。誰でもわかる場所に定位置をつくり、使ったら定位置に戻す、という動作がスムーズになることで、家族全員が自分で片付けようと思うようになります。そうなれば、自然と部屋は散らかりにくくなり、掃除も楽になります。
※イラスト『設計者主婦が教える片づく収納アイデア』より