外壁材は外観の面積の大部分を占めますので、家の印象を決める上で重要な部分と言えます。外壁材は、素材や色が多様なため選ぶのが大変だというイメージがありますが、外から見える部分ですので、周辺の住宅を参考にして好みの外観を検討することから始めてみましょう。
外壁材には、雨風などを遮断する耐水性や耐久性、地震の揺れに対応する耐震性、近隣で火事があった場合などにも燃えにくくするための防火性などが求められます。素材や色の好みだけでなく、性能や長期的なメンテナンスなども含めて外壁材を検討しましょう。
外壁には大きく分けて、乾式工法(現場で水を使わない)と湿式工法(現場で水を使う)の2種類があります。
サイディング(乾式工法)
板状の外壁材のことをいい、作業効率が良く工期も短くコストを抑えることが可能です。
一般的にサイディングは、板材と板材の継ぎ目をシーリングというゴム状の材料で埋めます。サイディング本体よりもシーリングの劣化が早く、劣化により防水機能が低下すると雨漏りの原因になりますので定期的に点検し、亀裂が生じている場合は早めに埋めなおすことが大切です。
サイディングは大きく分けて、窯業系、金属系、木質系の3種類があります。
・窯業系サイディング
セメントやケイ酸カルシウムの原料に繊維質原料を混ぜて、高温・高圧の釜で形を整えたものです。耐久性・耐火性に優れ、塗り壁調やタイル調、木目調などデザインの種類も豊富で、価格帯も安価なものから幅広くあるので多くの住宅で採用されています。
・金属系サイディング
アルミやステンレス、特殊なメッキで耐久性を高めたガルバリウム鋼板などの金属板に、芯材として断熱材や遮音材を入れた外壁材です。
窯業系に比べ、軽くて現場での施工がしやすく、建物に負担をかけにくいのが特徴です。シャープな印象があるので、外観をモダンなデザインにしたい方にはおススメです。また、軽量で構造にかかる負担が少ない、安価であるという利点から、リフォーム材として使われることもあります。
・木質系サイディング
杉やレッドシダーなどの天然木や合板などに塗装をしたもので、木の風合いを活かした外観となります。断熱性に優れていますが、耐火性が低いため都市部では規制を受ける地域もあります。外壁材として使用する場合は不燃処理されたものを使うなど、対策が必要です。また、木材を保護するために定期的に塗装をすることが大切です。
張り方は、大きく分けて縦張りと横張りがあり、建物の下から重ねながら張っていく、下見板張りが代表的です。
塗り壁(湿式工法)
塗り壁とは、砂とセメント、混和材を混ぜて水で練ったモルタル壁を下地として、その上に左官材や塗料を施した壁をいいます。
防火性、遮音性、耐久性に優れていますが、乾燥までに時間を必要とする工法です。
代表的なものとして以下のような仕上げ材があります。
・漆喰
石灰石からできた消石灰(水酸化カルシウム)に砂と糊、スサを練り合わせた伝統的な塗り壁の仕上げ材料です。
漆喰は、調湿性、防火性、防音性、などに優れた材料ですが、高度な左官技術が必要なため、施工できる工務店は限られます。
基本色は白色ですが、顔料を混ぜて着色した「色漆喰」もあり色のバリエーションを楽しむこともできます。スサとは、藁や麻などの繊維質の材料です。
・珪藻土
植物性のプランクトン(藻)が化石化して出来た土です。
珪藻土には、肉眼では見ることの出来ない無数の小さい穴(空気層)があり、断熱性、保温性、脱臭性、防火性などにも優れています。
表面を鏝(こて)で撫でる、引きずる、叩く、磨くなどの左官方法により、個性的な外観に仕上げることができます。
・リシン(薄付け仕上塗材)
リシンとは、モルタル外壁などの仕上げ材として表面に塗られる化粧材のことです。セメントと砂粒を混ぜた「セメントリシン」やアクリル樹脂と砂粒を混ぜた「アクリルリシン」などを、薄く砂壁状に仕上げます。
施工方法には、「エアスプレーガン」を用いて外壁に吹き付ける「吹き付け」や、固まらないうちに表面をブラシや金具で掻き落とす「掻き落とし」などがあります。
仕上がりの模様や色も豊富で建物の外壁、内壁に採用され、和風、洋風どちらにも合います。広範囲な壁面にも短時間で施工できるため低価格ですが、塗膜が薄いので、ひび割れなどが起きやすいという欠点があります。
・スタッコ(厚付け仕上塗材)
スタッコとは、石灰と水で出来た化粧漆喰という建築材料のことです。主に、モルタル外壁などの表面の仕上げ材として使用します。本来のスタッコ仕上げは、モルタルなどの表面をコテや木片で叩いて引き起こす仕上げ方法でした。最近では、セメント系やアクリル樹脂、フッ素樹脂などと砂粒を混ぜ合わせた材料などの厚塗り塗材を、専用の吹き付けガンを使用して吹き付け、表面に凹凸模様をつくる方法が、安価で施工性も高いため主流となっています。
コンクリート打放し(湿式工法)
鉄筋コンクリート造(RC造)では、型枠(仮枠)を組んだ後にコンクリートを流し込んで施工しますが、この型枠を取り外したままの状態で表面に仕上げを施さず、コンクリートの表面そのものを活かした仕上げをコンクリート打ち放しと呼びます。
型枠は、鋼製型枠、木製型枠、合板型枠などがありますが、木製型枠(杉、桧、松など)を使用することで、無機質なコンクリートに木質感を施すことができます。
タイル・レンガ
モルタル下地の上に、タイルやレンガを張るものです。比較的高価ですが、サイディングと比べ継ぎ目が無く、個性的な外観をつくることができます。
不燃材料で、耐久性、耐水性に優れているため、水まわりの仕上げにも適しており、建物の外壁や内壁、床などに幅広く利用されています。 最近では、剥離防止のために接着剤や金具で固定する方式もあります。