鉄筋コンクリート造には、大きく分けてラーメン構造と壁式構造の2つがあります。
ラーメン構造は、柱と梁によって骨組みをつくり、床スラブや耐震壁を構成します。開口部を大きく空けることができ、間取りの自由度は高い一方で、柱型や梁型が室内に見えてくるため、空間をシンプルにするには工夫が必要です。
壁式構造は、柱や梁を用いずに壁と床だけで建物の構造部を構成します。柱型や梁型が出ないため、スッキリとした平面計画ができる反面、壁自体が構造体となるため空間構成の自由度は低くなります。
鉄筋コンクリート造は、鉄筋とコンクリート(セメント、砂利、水などを混ぜたもの)を組み合わせて構造体をつくります。圧縮力には強いけれど引張力には弱いというコンクリートの弱点を、引張力に強い鉄筋を入れることで補うという構成です。柱や梁などの各部分を一体で構築するため、地震に対して強く、安全な構造を得やすいものです。この特性を生かすためには、適切な量の鉄筋を適切な位置に配置すること、コンクリートとの付着を十分取ることが大切です。
耐震性の他にも耐久性、耐火性、遮音性に優れている一方、自重が大きいため、基礎や地盤への負担が大きくなります。
火や錆に弱い鉄筋を、コンクリートが保護しているため、コンクリート(アルカリ性)が空気中の二酸化炭素や酸性雨によって中性に変えられると、内部の鉄筋が錆びることで膨張し、コンクリートがひび割れていきます。そこで、施工時には鉄筋に対してコンクリートのかぶり厚さを適切にとることが大切です。
コンクリートは熱伝導率が高く、外気の温度変化の影響を受けやすい構造体です。夏場の日中、屋根面に蓄熱されて夜もなかなか冷めず室内が暑いということにならないように、屋根面の断熱をコンクリートの外側でしっかりと行うなどの工夫が必要です。
リフォームについては、程度にもよりますが一般的に木造と比べて増改築しにくい工法といえます。既存部と増改築部分の鉄筋をつなぐためのコンクリートを削るハツリ工事などで、大きな振動や騒音、粉塵などが発生するため、近隣に迷惑となります。将来リフォームを考えている場合は、設計当初から、増改築を想定して間取りを検討することをおススメします。
工事の工期は、規模や条件にもよりますが、一般的な2階建ての30坪程度の住宅で約7ヶ月程度と比較的長く、その分建設費も高くなります。
コストについては、材料や施工費が比較的高価なことや、自重が大きいため地盤改良や杭工事などに費用がかかるなど、建設費も解体費も一般的な木造より高くなります。 工期や予算に余裕があり、デザイン性の高さや耐震性、耐久性、遮音性などの構造自体の性能の高さを重視するタイプの方におススメの工法といえます。