
建物の最も下の部分にあたる基礎は、その名の通り、建物を建てるうえで最も重要な部分です。建物にかかる自重や家具・積雪などの重み(鉛直荷重)や、地震や風などの横から加わる力(水平力)をバランス良く地盤に伝える、地面の湿気から建物を守るといった役割をもつものです。
一般的に、地盤が良好で支持層が浅い土地では直接基礎(布基礎、ベタ基礎、独立基礎)を採用し、直接基礎では建物を十分に支えられない場合は杭基礎などを採用します。建築基準法で地耐力に応じた基礎の形状が定められているので、地盤調査で得られた数値をもとに、設計者がどの基礎を採用するかを決めていきます。
布基礎
鉄筋コンクリート造の逆T型の基礎を、建物の外周部分と部屋割りの境に沿って線状に埋設する基礎のことです。フーチング(基礎底盤)がつながっていることから「連続フーチング基礎」ともいいます。
木造住宅では多く用いられていますが、基礎の内側は土が露出するため、湿気やすくシロアリの被害を受けやすいといわれます。防湿コンクリートを敷き詰めることにより、湿気を防ぐことも可能です。
ベタ基礎
建物の下部全体に、鉄筋コンクリート造の板状の基礎を、埋設して底面全体で建物を支えるものです。建物の荷重を均一に地盤に伝えることができるため、軟弱な地盤に採用され、防湿にも優れています。
ベタ基礎は布基礎に比べ、コンクリートや鉄筋量が多く必要になるためコスト高となりますが、複雑な型枠が不要で作業性が高く、工期も短縮できるため最近ではベタ基礎が主流になっています。
杭基礎
布基礎やベタ基礎などの浅い基礎ではでは十分に建物を支持できない地盤の場合に採用されます。基礎底盤から支持層まで杭を入れる基礎で、主に杭先端の地盤支持力によって支持させる支持杭と、杭周面の摩擦力で建物を支持させる摩擦杭があります。布基礎やベタ基礎に比べ、コストは高くなります。