坪単価とは、1坪(約3.3㎡)あたりの工事費のことで、工事費÷坪数で求められます。「坪50万円」などとハウスメーカーが公表していることがあり、どこに頼めば安く建てられるのか比較の目安となる場合がありますが、坪単価だけで決めるという際には注意が必要です。それは、坪単価は算定基準が明確に定められておらず、金額に含める工事項目や床面積の取り方が統一されていないため、単純に比較することができないためです。
例えば、多くのハウスメーカーでは「本体価格だけの坪単価」を表示しています。この本体価格とは、建物だけの価格のことで、この価格には門や植栽、駐車場にかかる外構工事費や、電気・ガス・上下水道の引き込み費用は含まれていません。敷地や建物の形状によっても異なりますが、実際にかかる費用は、ハウスメーカーの場合少なくとも本体価格の2~3割増しと言われています。
一方、設計事務所の場合はこれまでの実績に基づき、建物に固定されていないもの(置き家具やカーテン、後付けの冷暖房設備など)を除くほぼすべての工事を含んだ「結果坪単価」を目安に話を進めることがほとんどです。
また、工務店の場合は、会社によって本体価格の坪単価に近い金額の場合と、「結果坪単価」に近い金額の場合がある、というように坪単価に含まれる項目は業者によって異なります。
床面積の取り方についても明確に定義されていないため、例えば、建築基準法上では延べ面積に入らないようなロフトやベランダを、坪単価の計算に含める場合は、数字上は安く見えますが、これらを含めないで計算する場合もあります。
このように、算定基準の異なる坪単価同士を比較することはあまり意味がありません。実際の工事費を知るためには、具体的な予定地の条件や規模などの要望を元に、個別に見積りを取り比較検討をする必要があります。
また、住宅に住むためには建物の本体工事費の他にも、家具の購入費や税金、保険費用など様々な費用がかかりますので、後々お金が足りなくなることのないように、マイホーム検討の初期段階で調べておきましょう。