フラット35
フラット35は、住宅金融支援機構が民間金融機関などと協力し、2003年に誕生した住宅ローンで、スタート時に全返済期間の金利と返済額が決定します。フラット35には「買取型」と「保証型」の2種類がありますが、ここでは従来から販売されている「買取型」について説明します。
繰上げ返済に伴う手数料が無料で、諸費用が安いのがフラット35の特徴です。最近は、フラット35以外の住宅ローンでも、無料のところが増えましたが、金融機関によっては繰上げ返済をするときには、1回あたり数千円から数万円程度の費用が掛かります。これが、フラット35なら何回でも無料でできます。また、返済条件の変更にも、特別な手数料はかかりません。 ただし、1回あたりの繰上げ返済額は100万円以上と決まっています。
また、ローン契約の際の保証人は不要でローン保証料についても無料です。そのため、通常であれば数十万円程度必要になるお金を払わずに済みます。 ただし、フラット35の最大の特徴、長期固定金利は、変動金利や固定金利期間選択型に比べて金利が高くなります。固定金利を選んだ後も低金利状態がずっと続いた場合、結果的に割高な金利を払い続けることになるのです。
また、フラット35だからかかる費用もあります。 それは、団体信用生命保険(団信)の保険料です。団信は民間のローンを借りても加入しますが、保険用は金利に含まれているため、利用者が直接支払うことはありません。 これに対し、フラット35を借りて団信に加入した場合は、毎年保険料を負担しなければなりません。
フラット35は、今後、金利が上昇していくと考えている人や、子供の教育費、老後に計画的に備えたいという人に向いている住宅ローンといえるでしょう。
財形住宅融資
財形住宅融資とは、指定した方法でお金を貯めれば、住宅支援機構が住宅ローンのお金を貸してくれるというものです。
具体的には、給与天引による財形貯蓄を1年以上続け、申込日前2年以内に財形貯蓄の預入れを行い、かつ、申込日における貯蓄残高が50万円以上ある勤労者に対して、持家(新築、中古)取得またはリフォームのための資金を直接融資するというものです。
財形住宅融資の金利は、返済の開始から終了までの全期間、5年毎に適用金利を見直す5年固定金利型と決まっています。また、融資可能額は財形貯蓄額の10倍かつ4,000万円以下となっています(住宅取得価額の90%が限度)。
財形住宅融資には保証料も事務手数料も必要ないという点が大きな特徴です。最近の住宅ローンは手数料や保証料を合わせて融資金額の約2%(2,000万円借りて40万円)という商品が多いですが、財形住宅融資はこれらの費用が全く発生しないという点が大きなメリットであると言えます。
民間金融機関の住宅ローンの団体信用生命保険の保険料は金融機関負担でそこに3大疾病特約などの特約をつけた場合には特約料だけが借主負担となることが一般的ですが、財形住宅融資やフラット35は団体信用生命保険の基本契約の保険料も借主負担となります。この点は民間金融機関の住宅ローンと比べて大きなデメリットであると言えます。
また、財形住宅融資はフラット35と併用が可能です。財形住宅融資は最大で4,000万円まで、財形貯蓄額の10倍という条件があるため財形住宅融資だけでは、必要な資金に届かない可能性があります。そこで、このような場合には、フラット35を併用するのがオススメです。
民間ローン
民間の住宅ローンは、金融機関によって異なりますが、全般的には、公的融資よりも物件の制約が穏やかで、ローンの種類が豊富という特徴があります。
具体的には、フラット35では、住宅について住宅金融支援機構の定める、長く丈夫なままでいれるかどうか、しっかりした建物かどうか、という観点から要求される技術条件に適合している必要がありますが、民間ローンでは、特別に設けられた技術基準などはありません。また、フラット35が、申し込みから返済完了まで固定金利なのに対し、民間ローンは、変動型・固定期間選択型・完全固定型など、さまざまな種類があります。
①変動型
年2回の金利の見直しがあります。返済額については、一般的に5年ごとに見直しを行います。金利の上昇に伴う返済額が増加する場合は上限(25%増まで)が定められていますので、見直し後の返済負担が極端に高くなることはありません。
②固定期間選択型
3年、5年、10年など一定期間だけ金利を固定するタイプです。固定金利期間が終了した後は、その時点で新たな金利のタイプを選びます。
金利の変動による返済額の増減に制限がありませんので、金利が急激に上昇した場合には毎月の返済額が大幅に増加します。
③完全固定型
最初に決められた金利が返済終了まで変わらないタイプです。
【※2021年4月時点】