建売住宅

   

   

現在の日本の不動産市場において、住まいの選び方の主要な選択肢の一つとして「建売住宅」があります。しかし、その「建売住宅」の中で、多様化したライフスタイルに応える生活空間を持つ住宅や、その住宅が建つ敷地の特性を十分に生かした空間の設計となっている例は少ない状況です。一方で、年間新築住宅着工戸数90万戸の内、アトリエ系建築家が設計している住宅は1%にも満たないと言われています。

そこで、一つの試みとして、「敷地の特性を生かした空間を持つ住宅」というコンセプトで、複数の事業者さんと協同で「建売住宅」のプロジェクトを継続しています。「建築家業界」と「不動産業界」は、「住宅」という同じ物を扱っているにも関わらず、その捉え方は様々なレベルで大きなギャップがあります。そのギャップを調整しながら、このようなプロジェクトを継続していくことによって、様々な土地に様々な建ち方があり、それにより快適な生活空間をつくることができる、ということを多くの人に感じてもらえると考えています。

この2つの建売住宅「桜バルコニーの家」「ふたつの中庭をもつ家」は、それぞれの敷地特性を生かし、風通しのよい生活空間を持つ住宅としました。販売時はコロナ禍初期で、在宅勤務など家に居る時間が増え、家の中での生活をより丁寧に考える人が増えた時期でした。 購入してくださった方々は、いくつもの建売住宅を内見する中で、この住宅に出会い、「自分たちが快適に暮らす家はここしかない」という感覚で選んでくださいました。そのような方が暮らしていく中で、「いきいきとした家」に育ってくれることを期待しています。

   


photo by Tabuse Hiroshi